イタリア・エスプレッソレポート No.2

こんにちは、有機栽培コーヒー豆専門店「きまめや」店長の五十嵐です。 立春は過ぎましたが、まだまだ寒風に身の縮むような毎日です。皆さまいかがお過ごしでしょうか。こんな時期は風邪の予防で、体の芯から温まるホットコーヒーはいかがでしょう?
今日は、前回に引き続き「本場エスプレッソ」について、お話ししたいと思います。

■アドバイザーのご紹介
五十嵐よしえ
建築士を辞め(脱サラ)、無農薬・有機栽培コーヒー豆専門店 生豆屋(きまめや)を経営。自家焙煎のコーヒー豆店として日本で初めて有機JAS認証を受ける。店舗販売だけでなく、全国に通信販売を展開、現在に至る。

無農薬・有機栽培コーヒー豆専門店  店長 五十嵐よしえ
神奈川県相模原市南区相南2-24-14
平日10:00~16:00営業
電話042-745-7774         メール staff@kimameya.co.jp
ホームページ      https://kimameya.co.jp

クレマとは?

私達がカフェでエスプレッソを頼んだときに気にするクレマ(エスプレッソに浮かぶ泡)。その正体は、新鮮なコーヒー豆に含まれる「炭酸ガス」です。※ドリップで蒸らす時に、新鮮なコーヒー豆だとプクッと膨らみますね?あの膨らみも、そしてコーヒーの香りも、「炭酸ガス」が関係しています。そのクレマは「新鮮な豆」を、「抽出直前にパウダー状」に挽き、さらに「適正なマシンと抽出技術」があってできる泡、と言えます。
ただし「クレマが厚い=美味」とは限りません。
高品質で新鮮な豆を使えばクレマの厚い美味しいエスプレッソができますが、低品質の豆を使えばクレマがあっても美味しさの追求は難しいです。また最近では、古い豆でも強制的にクレマを作るエスプレッソマシンが出回っており、残念ながら美味しさの基準とは言えなくなってきているようです。

意外と薄かったクレマ

このクレマが、ローマのバールではどうなんだろう?と大変期待して行ったのですが、意外にも、クレマが薄いエスプレッソを出された方が多かったです。薄いどころか、コーヒー液が半分くらい見えているエスプレッソも。 (※クレマが厚くて美味しいエスプレッソを出すバールも、少数派ですがありましたので予めご了承下さい。)
クレマの薄さが、エスプレッソマシンの問題か、豆の鮮度の影響か、私が行った時期が悪かったのか、偶然そういうバールにばかり入ってしまったのか?残念ながら、詳細は分かりません。ただバリスタさん達は、接客態度と同様、クレマの厚さについても「全然気にしない♪」という感じだったのは確かです。 日本では「クレマが大事!」と、強制的にクレマを作る機能付きマシンまで出回っているに、ローマではあまり気にしていないのかぁ…と、少々拍子抜けしました。

日本人は見た目重視?

このとき、ふと紅茶の「ジャンピング」を思い出しました。「紅茶を抽出する時には、茶葉がポット内で上下(ジャンピング)するのが大事!」と日本で言っているのに、本場英国では全然そんなこと気にしていなかったこと、そして「ジャンピング」と言う言葉自体、本場では使われていなかったことを。日本では、味わいよりもむしろ「見た目」にこだわってしまう傾向があるのかも知れませんね。

ローマ滞在中、一度だけ直火式のエスプレッソをイタリア人家庭でいただく機会がありました。エスプレッソマシンとはまた違った、素朴な美味しさがとても印象的だったのを覚えています。 また、私が滞在したコンドミニアムにも3種類の直火式エスプレッソメーカーが用意されていて、さらに直火式エスプレッソ専用のガス台まであり驚きました。 小さなキッチンでも、エスプレッソ専用のガス台があるのが一般的のようです。
クレマにこだわっていないからこそ、直火式が「家庭の味わい」として愛され続けているのかな…と思いました。

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