公的年金の繰上げ支給と繰下げ支給、どうしますか?

公的年金は65歳支給が原則ですが、60歳から減額して受け取る繰上げ支給や、70歳まで受給せず増額して受け取る繰下げ支給という制度があります。

繰上げ支給のしくみは・・・・

60歳以降の65歳までの間で、繰り上げた月数に応じて1か月あたり0.5%年金が減額されます。 60歳で受給を開始すると30% (0.5×60月)減額され、減額された年金は一生変わりません。損益分岐点は76歳、77歳以上長生きすると損になります。

・繰下げ支給のしくみは・・・

受給開始を66歳以降にすると、繰下げた月数に応じて1か月あたり0.7%年金が増加します。70歳まで受給しないと、42%(0.7×60月)増額することになります。損益分岐点は。81歳、82歳以上長生きすると65歳から受給した場合に比べて得になります。

・メリット・デメリットは・・・

繰上げ支給のメリットは年金が早くもらえることですが、注意点は、一度請求すると取り消しが効かないこと、年金額を増やすための「国民年金の任意加入」ができないこと、老齢基礎年金・老齢厚生年金ともに繰上げなければならないことです。

繰下げ支給のメリットは、繰下げた期間に応じて年金額が増えること、老齢基礎年金・老齢厚生年金をそれぞれ別々に繰下げられることですが、注意点は、繰下げ中は年金がもらえないことです。

では受給の実態は・・・

2016年の場合、繰上げ支給を選択している人は9.2%、本来の65歳からが88.2%、繰下げ支給が2.7%でした。

人生100年の話題から繰下げ支給が注目されていますが、年金額が増額することにより、社会保険料や後期高齢者医療保険の窓口負担(1割~3割)や公的介護保険の自己負担額(1割~3割)が増える可能性もあり注意が必要です。